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毎日新聞作品紹介⑤

◇前景と後景の光と闇対比
日没後、わずかに残る日の光に照らされ、山は雲に溶け込むかのように淡白くかすみ、前景に生い茂る木々は、シルエットのように黒々としている。
ウェールズ北部のスノードニアは、氷河によって削られた高峰の連なる壮大かつ荒涼とした景観を有する。なかでもスノードン山は、イングランドとウェールズでは最高峰となる山である。
23歳の夏、この地を初めて訪れたターナーは「崇高(サブライム)」について意識するようになる。崇高の概念は、イギリスの思想家エドマンド・バーク(1729~97)が世の中に広めた美学の一つである。
ターナーは本作で、前景と後景の光と闇の対比によって自然の壮大さを伝え、どこかロマンチックさも漂わせている。(北九州市立美術館学芸員 河村朱音)=おわり
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■写真説明 「スノードン山、残照」1798~99年 水彩、スクレイピングアウト・紙 エディンバラ、スコットランド国立美術館群 (C)Trustees of the National Galleries of Scotland