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毎日新聞作品紹介④

◇独特の肌で感じる空気感
抽象画のように見える本作は、しばらく眺めていると水辺の樹木などが浮かび上がってくる。ターナーのたゆまない風景画の研究は、1830年代から晩年にかけて、色彩や光による空気感の表現へと至る。
輪郭をもたない霧や風を描き、かろうじて風景としての形態が保たれているところに、ターナー作品が有する、独特の肌で感じるようなその場の空気感が表出する。
本作はターナーのアトリエに残されていた作品群の1点であるため、スケッチである可能性が指摘されている。画面中央にうっすらと浮かぶモチーフも山ではなく、城ではないかという見解もある。
いずれにせよ、まばゆい光と謎に包まれた本作は、150年を経た今も輝きを放つ魅力的な作品である。(北九州市立美術館学芸員 河村朱音)=つづく
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■写真説明 「遠景に山が見える川の風景」 1840~50年ごろ油彩・カンヴァス リヴァプール国立美術館群、ウォーカー・アート・ギャラリー National Museums Liverpool, Walker Art Gallery.Presented by Lady Holt 1946

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