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毎日新聞作品紹介②

「ストーンヘンジ、ウィルトシャー」
◇自然を畏怖の対象に
幾筋もの白い稲妻と硫黄色に染まった不気味な雲。地面には倒れた羊飼いとその傍らで鳴く犬、倒れた子羊に身を寄せる親羊の姿がある。
本作はターナーにとって大規模な版画制作となった「イングランドとウェールズのピクチャレスクな景観」のために描かれたもの。シリーズの中で最も激しい自然現象を捉えており、美術評論家のジョン・ラスキン(1819~1900)は自著「近代画家論」の中で「幻想的で燃えるような空間は独特な恐怖に満ちている」と評した。自然は美しいだけではなく、ときに天災をもたらす畏怖(いふ)の対象であるということを伝える。
1829年に銅版画化されるが、版画では雷の周辺部分だけでも1ミリの範囲に5本もの線が入っており、原画の雰囲気を忠実に再現するための彫版師の苦心がうかがえる。(北九州市立美術館学芸員 河村朱音)=つづく
▽2018年1月11日・毎日新聞西部版
(C)On Loan from The Salisbury Museum,England

 

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