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毎日新聞作品紹介①

「ヘリオット養育院、エディンバラ」
◇都会が抱える問題示唆
エディンバラ(スコットランド)の旧市街を描いた本作は、前景に露店商人や石炭を運ぶ人、つぼを売る女性、歩き回る犬など、都会のにぎやかな様子が描かれている。
画面の中央奥にシルエットのようにそびえたつのが、ヘリオット養育院である。貧しい子どもの養育施設として1628年に設立、59年に開院され、現在は学校となっている。
主題をあえて遠景に描き、荘厳さ、壮大さを増しているのがターナーらしい。本作は作家ウォルター・スコットによる「スコットランドの地方古遺物」の挿絵として注文制作されたものだ。
街の喧騒(けんそう)の奥にある慈善施設の存在という構図は、都会が抱える問題を示唆しているとも読み取れる。社会に対するターナーのまなざしが感じられる作品である。(北九州市立美術館学芸員 河村朱音)=つづく
▽2018年1月10日・毎日新聞西部版
(C)Trustees of the National Galleries of Scotland

Joseph Mallord William Turner